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昼休み、宣言通り鈴木さんは友人を引き連れて、私のそばに机をくっ付けた。
「真代ちゃんと喋んの初めてー!よろしくね!私、川崎 志帆(かわさき しほ)だよ!あ、知ってるか!同じクラスだし!」
川崎さんは一見きつそうな切れ目を丸く歪めて、人懐こい笑顔を浮かべている。
真っ黒なロングストレートの髪を後ろで高く結い上げていて、それがまた似合っていた。
頭を軽く下げて応じた。
そんな様子を、鈴木さんがニコニコしながら見ている。
私はお弁当の蓋を開けて、箸を取った。
「すっご!真代のお弁当、キレー!」
「ほんとだ!純(じゅん)と大違いじゃん!」
「うっさいなぁー、ねえ真代、それ自分で?」
私は俯きながらかるく頷く。鈴木さんは川崎さんから下の名前で呼ばれているらしかった。
鈴木さんのお弁当は……、あまり見栄えがいいという感じではなかった。
「私料理苦手なんだよねえ。志帆笑ってるけど、こいつママに作らせてんだから!」
「真代ちゃんって料理得意なの!?」
川崎さんが話を自分から私に向けた。
ある程度できるだけであって、得意ではない。その意味を込めて首を少し傾げた。
「もしかしてお菓子作れたりする?」
川崎さんが身を乗り出して聞いてくる。
私は控えめに頷いた。
その瞬間、箸を握っていた手を掴まれ、握りこまれた。
「うちらに教えて!」
…え。
私はまた首を傾げざるを得なかった。
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