西日

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「皆瀬。皆瀬冬馬」 みなせ とうま。 聞かなくても答えてくれた。 「み、みなせ、くん」 むに、と、鼻を摘ままれた。 皆瀬くんが、口をへの字にしながら。 初、接触。 男の子に触られたの、はじめてかも。 その瞬間、胸の奥がきゅぅっと絞られた。 「また明日」 よく、わからない約束だった。 また明日。 明日も彼はここに来るのだろうか? 皆瀬くんが、くすりと笑った気がした。 よくわからない。 胸の奥がちりちりする。 ―――よく、わからない。
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