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「なんや、本命あげんのー?」
俊太の言葉に一瞬ドキッとした。……それは、あげられるものならあげたいけれど。
「本命なんていないよ」
嘘をつく。いるけど、あげちゃいけないだけ。飲み込んで噛み砕いて消化されるのを待たないと。
俊太はぷー、と口を尖らせた。
「大好きな俺にはくれへんのー?」
「――俊太には義理で充分よ、義理で。お友達でしょ?」
「ちぇー。やっぱそっかー」
冗談として会話は流れる。その事に酷くほっとした。
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