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書庫に入ると男子が一人でリストとにらめっこしていた。二年生の長谷川(はせがわ)先輩だ。うんうん唸っているその背中に声をかける。
「お疲れ様です。ちょっといいですか?」
「あ、カナ。何?」
「これ、向こうの部屋に紛れてた本です。先にリストと照合させちゃおうと思って」
長谷川先輩は「おおっ!」と目を輝かせた。抜けているのがもうあったらしい。私の手持ちの本の背表紙をチェックして、リストと見比べる。
「いやー、助かったぜー!」
「大げさですよ。それじゃあ私、これ戻してきますから」
そこはかとなく空いている隙間に一冊一冊本を戻していく。書庫の本は持ち出し禁止のはずだけど、調べ物の時につい持ち出しちゃう人がいるようだった。それで近くの棚に入れてしまう、と。
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