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最後の一冊を入れた時、「カナ」と長谷川先輩が声をかけてきた。
「何か問題あった?」
「いや、チェックはもう終わったんだけどさ……」
長谷川先輩は言いにくそうに口をもごもごさせて、窓のさんを視線でなぞった。
「カナって恋人いたりするか?」
「……いえ、いませんけど」
変に隠しても仕方ない。それがどうしたのだろうか。疑問に思う私の言葉に、先輩はパッと笑顔になった。
「そ、そっか! それならさ……」
いったん口ごもってキッと真剣な顔になる。長谷川先輩は試合に出る前の選手のように両手を握りこぶしにして言った。
「俺、カナの事好きなんだ。出来たら付き合ってほしい」
「……え?」
それこそ思いもよらなかった言葉に、私が出来た返事は間の抜けたような一言だけだった。先輩は「うっ」と軽くうめいてから困ったような顔をする。
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