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「カナは誰かあげる相手おらんの?」
「――え?」
当然といえば当然の、振られた話題にとっさに反応出来なかった。俊太は気にした風もなく両手を頭の後ろで組む。
「せやから、チョコあげる相手。ほら女子ってこういうイベント好きやろ?」
それは――そうだけど。
「何、カナちゃんチョコ作るの?」
「え、あ……まだ考えてないけど……そっちは?」
話題に入ってきた女子の一人に聞けば、彼女は両手を胸の前で組んだ。どこか乙女チックな動作が似合わないのは、ばっちり決められたメイクのせいだろうか。
「もちあげるよぉ! ダーリンでしょ、パパでしょ、それからクラスの皆に!」
「皆?」
「あれやろ、ほら友チョコゆーやつ」
ああ、そういうものもあったな、と思い出す。最近はあげるチョコの種類が増えていて、流行に疎い私だとついていけない部分があった。
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