プロローグ

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 紅蓮の炎が支配せんとする大地を蹴って、少年は一直線に魔人へと向かっていく。 「人と――!」  その手には剣。鍛え抜かれた鋼の織り成した刀。  一心不乱に打たれる少年の剣技。しかし魔人は不死鳥のように燃える尾を引きながら、少年の刃を華麗にかわしていった。  鋼鉄の光が、紅蓮の閃光を追いかける。  追う月、避ける太陽。  少年は汗を流し、呼吸を荒くしながらも、魔人に迫るのをやめなかった。 「俺の全てが・・・・・・」  刀を袈裟懸けに振り下ろしたとき、少年の両腕はほとんど限界だった。  それでも。 「俺の全てが、お前を許さないって言ってるんだよ!」  筋肉が悲鳴をあげようと、少年――神田リュウジは刀を大上段に構え、再び魔人へと突進した。  乾坤一擲。持てるすべての力を振り絞って、リュウジはぎりりと刀の柄を握り締め、駆ける。  それに応えんと刀は小さく鍔鳴りし、刃紋波打つ刀身は氷のように透き通った輝きを放った。
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