1:DEEP SEA

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 「じゃあ、あれだ。もしもユリがてっちゃんとうまく行かなくなったら、一緒に住もうか?」  「へ?」  「その子と一緒に、私がうんと大事にして、うんと甘やかしてあげるよ?ワキ見するようなてっちゃんなんかよりもさ」  「っ!?え?え?……もう!ジンっ!?そんな。え?嘘……てっちゃん、なんか言ってたの?さっき」  「あはは。嘘だよ。嘘。てっちゃん、ユリにべた惚れ。大丈夫だって、世界で一番幸せになるって」  「もう!ジンってば!」  「ずっと祈ってるから。ユリがいつでも世界で一番幸せでありますようにって」  「……じゃあ、ジンは世界で二番目に幸せでありますようにって、お祈りするね?」  「サンキュ」  ジンは笑って、また、じっと水槽を見た。  「……あのさ、ユリ?」  「ん?」  ジンはあたしを見ない。水槽の中を泳ぎ回る、魚以外の何かを熱心に探しているみたい。  でも、眉間に薄いシワ。すっと耳たぶに手をやる。  まただ。ジンのクセ。  なんだろ?何かひっかかる。じわじわと不安がよぎる。  「なあに?ジン」  「沖縄、行ってくる」  「え?嘘。いつ?」  「急なんだけど、来週月曜日に」  「月曜?やだ。結婚式の最終打ち合わせだ。お見送り行けないよ?」    「いいよ。大丈夫」  「いつ帰ってくる?結婚式には間に合うよね?」  「……ごめん」  「なんで?そんな」
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