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チヒロは、座ったとたんに運ばれてきた、オーダーしていないジンバックを喉を鳴らして飲む。
ここは、バーテンダーが常連の好みを熟知していて、いつもと変わりない場合は何も言わなくても、いつもと同じものが出てくる。
ユリからのメール
『ジン!ありがとう!!
ヾ(≧∇≦)〃今、サプライズバースディパーティ真っ最中💓
これのことだったんだね?
さっきのてっちゃんの電話(*´∇`*)本当にありがとう💓本当はジンにも来て欲しかったなぁ(;o;)💦
私たちの友情は永遠だよ✨沖縄、気を付けて行ってきて。帰ってくるの楽しみ待ってるから♪』
に『改めておめでとう』と打つと
「やだ。何その業務連絡みたいなメールは」
チヒロに笑われた。
「幸せそうだから、何て打てばいいか……わからなくなる」
素直な思いを口に出せる。それを聞いてくれる人がいる。
それが、今はかなりありがたい。
雨に誘われてつい土の下から這い出てしまった蚯蚓(ミミズ)が日差しに焼かれてのたうち、湿った土中に潜る間もなく干乾びてしまったように、もうその気持ちはそうなんだって自覚しちゃったから。
夕べ、まざまざと思い知った。
チヒロの指が私の顎先を弾いた。
「痛いってば」
「うふふ。困ってるならいくらでも助けてあげるのにって?これから、そういうのはアタシにしなくちゃ、ね?」
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