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「うん。よしよし。今日は吸ってないな」
くしゃと頭を撫でた手を、私に向かって差し出してくる。
「ん?なあに?」
「煙草、没収」
「え?」
「持ってるだろ?わかるんだから」
苦笑い。
彼は初めて会った時からそう。
私の煙草をとる。
「俺は志保が心配なの。これからずっと付き合って将来結婚したら、子供に良くないんだからな」
「そんな先のこと、まだわからないでしょ?」
「ともかくダメ」
溜息。
でも嬉しい気持ちが混じっていることを知ってる。
開けたばかりの煙草を差し出す。
彼は、それを握り潰す。
「昼飯、食いに行こう」
「うん」
彼は笑って私の肩を抱く。
店先のトラッシュボックスへ。
握り潰した煙草と手紙を捨てる。
軽い音と立てて落ちる。
その他の雑多なゴミと一緒。
もう、大丈夫だから。
バイバイヒロ。
ありがとう。
ヒロ
~完~
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