7:SMILE for

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ヨシ君だって? 受け取っといた? いつ友達になった? というか、 ついでに受け取ったって荷物扱い? 「あ、ごめんなさい。うっかりして時間間違えました。あの、そのままエレベーターで帰って来るように言って頂けますか?」 「もうお宅の前よ?あ、濡れてるからタオルもね」 濡れてる自分の世話をする間もなかった。 とりあえず頭からバスタオルを被ってドアを開けると、びしょびしょの、藤堂と翼君と、好孝が立っていた。 藤堂は、私を見て目を丸くした。 「相馬さんもずぶ濡れね?どうかした?」 「…あ。いえ。あんまりすごい雨だったから、ちょっと…様子を見ようとして…あの、テラスに出たら…」 「あははは!やだ!親子ね!似てるぅ!」 「え?」 「傘さしてお迎えに行ったんだけど、ヨシ君、雨、楽しいって。傘いらないって言って。うちの翼も、琢磨も光樹も輪も、傘イラナイって。そこらじゅう子犬みたいに走りまわって皆びしょびしょよ」 あはは。まったく子供はね、と藤堂は言いながら、快活に笑った。 「あの、ありがとうございました。すみませんでした…」 「あーあーいーのよ。気にしないで。ヨシ君、すっごい楽しそうだったわよ?もう全然、溶け込んでて」 藤堂は、他人の子供なのに、まるで親戚の子供にするように好孝の頭を撫でた。 好孝もにこにこしている。 確かに好孝の顔は、朝と違う。 雨に濡れているのに、惨めさなんか少しもない。 野性的な何かが浮き立つように、 軽やかな雰囲気で目を煌めかせ、 わくわくしているような表情で、 翼君と小突きあってる。 今にも吹き出して笑い転げる 一歩手前。 「子供はいいわね。こんなことで笑えて。なんか見習いたくなっちゃうわ」 「え?…ええ」 藤堂は笑って軽く肩をすくめると「じゃあまた明日。お互い、風邪引かないようにしようね」と手を振って帰って行った。 ドアを閉める。 「すっげーおもしろかった!」
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