10:My Boss Your Hero

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オフィスの窓から夕焼け空を見る。綺麗な茜色。 「はあーあ」 言いながら肩のストレッチをした。やだよ。ゴリゴリ。音が聞こえる。 「やだぁ。おじさんみたいですよぉ?晴海係長」 営業事務の三崎百合子が笑ったから「もうね。最近じゃね」と笑顔で返す。 三崎はさらににっこり笑い「ですよね?」とさらり一言。 経理課に、腰を振り振り甘い匂いをあちこちに振りまきながら、歩いて行った。経費の請求だろう。 ……って? 「ですよね?」って何よ?やな感じ。 それにしても下っ腹が重苦しい。 最近の生理不順ってやっぱプチ更年期かな?嫌だけど久しぶりに婦人科行く? あ。なんでそんなこと思いついたかな。んもう。思ったからにはやらなくちゃ。あーあ。 気が重い分、手帳を捲る手がのろくなる。ため息。 他に空いてる日があれば、今日婦人科に行くのはやめようと思ったのに、スケジュールを確認すると、どうしても今日しかない。 まったく間が悪い。いや。 でも向こうだって予約でいっぱいかもしれないじゃない? とりあえず、行動の整合性を保つため、ダメもとで、できればダメであってくれと密かに願いながら、2年前、流産で受診した産婦人科に電話を入れた。 たまたま不運なことに最終時間が空いてると言われ予約してしまった。 ちぇ。 電話を切ると、なぜだかやるせない気分になった。 茜色の空を見上げる。 あ。飛行機。ちっさな虫みたい。ギューンってまっすぐに、何の迷いもなくどこに行くのかな? もしあれが飛行機じゃなくてスーパーヒーローだったらおもしろいのに。 あっ?あれは何だっ!? 鳥だ! 飛行機だ!いや! スーパー……
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