10:My Boss Your Hero

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にやにや笑ってるよ。まさか三崎の差し金? ……まさかね。理由ないし。まぁ、どうでもいいけどさ。 「あ!そうだぁ。由紀子さんからメール来ちゃいました?」 な、その来ちゃいましたって、何? 「……来たよ」 唇から煙草を摘まみ指先で弄ぶ。 「赤ちゃん、無事で良かったですよねぇ。由紀子さん、もう34歳だしぃ。初産大変だったでしょうねぇ」 「すごい可愛い子でよかったよ」 「由紀子さんにも似ているけど、やっぱり林さん似かなぁ。うふふ。でも可哀そう……あ、ちょっとだけですよ?ほんのちょっと」 三崎は首をかしげ親指と人差し指で何かをつまむような仕草をした。 その親指と人差し指の距離分だけ、可哀そうってこと? やな感じ。 「無事に生まれたんだし、喜ばしいじゃない?」 「えーだってぇママは若い方がいいじゃないですかぁ?私は若いママになりたいなぁ。だってぇ23歳で赤ちゃん産めば子供が10歳の時にまだ33歳でしょ?由紀子さんとこはお子さんが10歳でママが44歳ですよ?ちょっとねぇ」 「三崎さん?」 「あ、やだ。係長も同い年でしたっけ?由紀子さんと」 答えるのも面倒でまた煙草を咥えた。いや、ぶっちゃけ別のことに集中しないと、この社長の娘にコーヒーをぶっかけるか、とてつもない言葉を浴びせそうな気がする。 「あ、でもでも係長はあれですよねぇ?お仕事一筋でしょう?結婚とか出産とかぜんぜん興味ないんですよね?羨ましいなぁ。私なんて早くお婿さん探せって父に言われてこの会社に入れられちゃってるからぁ。うふふふ」 わわ。手が勝手にプルプルしてる感じ。やばいやばい。 「楽しそうですね?」柔らかい声にどきっとした。条件反射だ。正也。 ふわっと空気が揺れて、ん?と思ったら唇からすっと煙草が離れた。 「晴海係長?今、禁煙タイムですよ?」
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