10:My Boss Your Hero

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ずいずいと押しこまれるように正也に押されて玄関の中に。 それから当たり前のように、どうぞあがって?とか上がっていい?とかそういうのなしに、正也は靴を脱いで上がり込むと「ほらほら中に入ろうよ」と言いながら、ネクタイを緩め、あたしを通り越してどんどんリビングに入っていった。 なんでこうなるかな、と思いながらその背中についていく。 ん?どうしたの?正也。立ち止まってテーブルの上を凝視して? あ、書類取り上げて読んでるね。やっばーい。 ……って?正也、大股であたしの前に来た? ど、どうした? 「まさかと思うけど、また一人でなんとかしようとしてた?」 「へ?」 「……マジで、いい加減にして欲しいな」 あ。怒ってるね?その顔は……。 テーブルの上のいろいろ、見ちゃったんだもんね。 でもさ、何でそこまでおっかない顔するの? 大丈夫だよ?迷惑かける気ないしさ……。 「確かに小袖課長のばか野郎っぷりも、由紀子さんのことも、三崎のことも、涼香さんには大したことないだろうけどさ!これは、さすがに」 「あの、でもさ、あの」 「言いわけすんな!」 びくっと体が震えた。 「俺、そんな頼りない?なんで、すぐに電話してこなかった?涼香さん、8時頃には帰るって言ってたろ?つーかケータイにも出ねぇし」 ふと時計を見る。いつの間に10時に? 「涼香さん、正直に答えて」 「……なに?」 「俺は必要?それとも……」
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