11:Spring snow

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走り出した車の窓を少し開ける。  ひょおひょおと細く冷たい風音。  空は曇り、呼び寄せられているような気分で銀治はハンドルを握っていた。  沙耶は目を細めて流れ去る景色を見ている。 「どうしてあの時、一緒に熱出したのかな」  その声にどうにもならない後悔の響きを聴き、銀治は胸を痛めた。  同じことは何度も考えた。  「…どうしてだろうな」  「一緒に、行ったのに」  「うん」  「どうして、行かなかったのかな…」  「そうだな」  「もし、一緒に行ってたら…あの事故って、なかったかな…」  「どうだろうな。どっちかの二人が事故って…いたかも?」  「あの日、カラオケに行かなきゃ良かったのかな」
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