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だから、せめて希望だけを加奈子に与えようと努めた。
それでも3日ももたず、加奈子も春樹のいる場所へといってしまった。
親友の葬儀、恋人の葬儀。
立て続けにあって自分の気持ちがどうなっているのか、自分でも把握できない。
けれど、それよりも憔悴しきった沙耶…親友春樹の恋人が心配だった。
あの日、カラオケで一緒に歌った。
パートナーを取り替えて、春樹と加奈子、沙耶と銀治。
採点で上位の方が、おごってもらうという約束だった。
一本のマイクに顔を寄せ、ふざけて笑いあって歌った。
銀治と一緒に歌っていても、その視線を春樹、加奈子、銀治とまんべんなく振りまく、健康的で可愛らしい笑みで顔を満たした沙耶だった。
気遣いのできる子だと銀治は思った。
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