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ぼんやり過ごして幸せなままでいられるなんて、ない。
これから先、何が起きても、幸せになると決めて気持ちを整えていく必要がある。
銀治は悟った。
だから、事情を知っている周りの人にどう思われても、銀治は気にしなかった。
ただ、春樹と加奈子にだけは、ちゃんと話したかった。
そして、銀治は加奈子との約束を果たしたいと願っていた。
「本当に今日かな?」
「去年は降らなかったもんな?」
沙耶は窓に額をつけて空を見上げた。
銀治は横目でそれを見てクスと笑う。
「何?」
「子供みたいだ」
ぷっと膨らんだ頬を指先で優しくつつき銀治はラジオをつけた。
アイドルグループの歌が流れだし沙耶は空を見上げながら小さな声で歌っている。
最後までつかえることなく歌いきると沙耶は満足そうに微笑み小さく欠伸をした。
「眠い?」
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