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「んーん。大丈夫」
「夕べ、あんま寝てないだろ?寝てな」
沙耶は銀治に顔を向けてにこりと笑い、その膝の上に手を置いた。
銀治は沙耶の手を左手で取る。二人は指を絡めて繋いだ。
銀治の手は大きくて温かい。
ラジオからパーソナリティとリスナーの楽しそうで賑やかなやりとりが聞こえ始めた。
仕事で移動中の人、掃除の合間に手を休めた人、大好きな人を思って料理してる人、先生に叱られた人、それぞれに思うことを手短に話しそれにパーソナリティがうまくかみ合うコメントをしている。
今、こうしている間にもたくさんの人達がそれぞれの人生を生きている。
まったく見ず知らずの人達とほんの一瞬、重なった瞬間を銀治と過ごせることに沙耶の胸が熱くなる。
『では、ここでお天気の情報です。今日は、これから雪がちらつきそうです。
お出かけされる方は温かくして風邪引かないようにしてくださいね。
さて、次の曲は…2年前かな?この季節になると聞きたくなるよね?』
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