12:Will meet again someday

8/14
前へ
/324ページ
次へ
こんな 荒口なんか と二人で 温泉宿にいるんだろ? いそいそと テーブルのお茶セットで お茶を淹れて お茶受けのお菓子を ポリポリむさぼる荒口を 不思議な気持ちで 見ていた。 やる気もないし やらせるつもりもないし。 荒口だって 口でやらせろ言っても 襲ってきたこともないし。 今までだって 宅飲みして  そのまま酔い潰れて 寝て  起きて シャワー浴びた後 だって ガチで 迫られたことって ないし けど 今まで 二人で温泉宿って なかった…のに? ま いいか。 ごろりと横になる。 あ 天井にシミみっけ。 なんか アレに似てるな あれは。 そう言えば最近 見てねーな。 アレ… 「ウララぁ?その大の字って襲えってことぉ?」 ごろっと 横になったアタシ に 圧し掛かるように 荒口が  覆いかぶさって 言った。 イケメン笑顔で。 だから アタシは 荒口の顔を じっと 見つめてやった。 何も言わないで。 2秒…5秒…8秒…10秒。 荒口の力を腕に 体に感じながら なんなら 何も言わずに かかってくれば いいのにって そしたら… あの天井のシミ に 似た場所に蹴り でも入れてやるのに。 なんて  不穏なことは ぜったいに 顔に出さないように 見つめてた。 「……」 「……」 荒口の方が 気持ちの 置きどころに困って 何か 言いだすのを アタシは じっと見つめて 待った。 「あ?あの、いや…ウララ?」 「……」 つ と 体を離すと 荒口は わかりやすく咳払いした。 そして 「黙ってると襲っちゃうぞ」 予測よりも 小さい声 だったから 笑った。 アタシから見れば ガラにもないことを言う。 「へ。んな勇気ないくせに」 起き上がり 荒口の淹れたお茶をすすって お茶受けを ぽりぽりかじった。
/324ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加