12:Will meet again someday

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ゆっくり ゆっくり その手を伸ばしてくる。 そっと アタシのほっぺに 触った。 りゅりゅりゅりゅ…と虫のこえが耳に響いて 頭の中がくらりと 揺れた。 「会うなって言われたけど」 「…なんで 会うなって言われるような話し方した?」 「わからん そんなつもり なかったのに」 するり するり アタシのほっぺを 撫でている。 「お前にだけは 何でも話せる。ずっと 一緒にいられると 思ってた。 けど」 その指を ゆるりゆるり 降ろして くる。 「ウララ 女だから…」 ばかだな。 「親友 だろ?」 「ウララに…」 「アンタ アタシのこと 好きだったわけ?」 「…ただ くっつきたい。甘えたい」 「結婚するのに?アタシの 知らんオンナと?」 「…なんかもう 降りれない感じで 誰かに 止めて欲しい のかも」 はぁ と ため息が出た。 不毛 だ。 ほんと ばかめ。 誰かに止めて欲しいって 何? ぴたり と 荒口の手が 止まった。 アタシは 荒口の手から逃れて  また 外に張り出した窓の桟(さん)に 腰かけた。 風が もみじを アタシのほっぺを 撫でていく。 「ウララ?」 「は?何ッ?」 「俺と やろ?」 「まだ言うか?」 「じゃ 俺を抱いて?」 荒口 なんでこんな なんだ? こいつ 大丈夫か?これから… もしも… もしもここで こいつの口から 嘘でも アタシを好きだって… せめて 好きかもしれない って言われたら? いや。それは…ないか。 ばかで鬼畜でも 無理やり押し倒したり 嘘ついたり できるやつじゃない。 結果的に 嘘 になったことは 数多くても。 荒口は アタシの隣に立って アタシの肩に 手を置いた。 「ウララぁ?」 甘い声 で呼ぶな。鈍る。荒口の その手を 払う。 叱られた子供 みたいな顔で 立っている荒口を 見る。 今 腕を開いたら 荒口はアタシの胸に顔 埋めるだろ。 あとは 成り行きで 体開いて腰振ってりゃ 終わる。 止めてほしいって アタシにってことなのか? でも…「荒口 男とでも やれんじゃん」 そんで 愛はいらない って言ってたじゃん。 「……」 「生きてる人間相手なら とりあえず誰でも」 「…俺 鬼畜じゃねーぞ?」つぶやく。
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