12:Will meet again someday

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「いやいや。十二分に 鬼畜」 「うまいよ?」 「たぶん やれる。だから やらない」 「区切りつけたい 俺」 「で 過去にするってか?」 やった人数にカウントされて 通り過ぎて 薄れていくだけの。 「ウララだって…ここまで 来ただろ? 俺と…」 「…アタシは お前の記憶に ずっと がっつり居座ってやる」 荒口の目を 見上げる。まっすぐに。 「お前は 年食って 死ぬ間際に アタシを思い出せばいいんだ あいつとやりたかったなぁって」 ぽろりと 荒口の目から 涙が落ちた。 こいつ ほんと 綺麗だ。 「俺は…ずっと 一緒にいられると思ってた。もう 会えなくなるなんて 考えたこと なかった」 「それは アタシも そうだよ」 「なんで 会っちゃいけないんだろ?」 「そんなこと お前のオンナに聞けよ?」 「ウララ 生まれ変わったら 同性になろ?ずっと親友で」 ぽろぽろ 涙を流しての 乙女発言。 それが はまる。 こんな 綺麗な ばかな男は 他には いない。 「ずっと一緒に」 なんでか ずきん と 胸に痛みが走る。 「…同性でも やれるだろ?」 荒口は ちょっと傷ついたように 目を見開いた。 アタシから目を外し その顔を 窓に向ける。 「うん…まぁ」 「ややこしいんだよ」 失くしたことに 気づかなければ どんなものでも 惜しみはしない。 いつの間にか空にのぼった月が  せせらぎを 青白い光で照らしていた。 ポケットから さっき盗ったもみじを出す。 深い紅。 まだ 枝に繋がっているみたいに しっとりと湿っている。 指先で 静かに千切って 風に乗せると ぱらぱらぱら と 散っていった。
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