13:Fragment of delusion

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で、羽宮類だって女だ。 ないだろーよ?そんな……。 にしても…っんだよ…。仲良さそうに。面白くない。 つーか!ムカつくと言っていい心境だ。 なんだって羽宮類にその話をしてるんだ? 結月がハードルを持ち上げようとした。 「あ。それ重いから。結月はこっちな」 なんだなんだ。え?その女子のくせにその男前な発言は。 しかもスタート合図用のピストルを結月に差し出しちゃって。 女子に重たいものは持たせないって? …ますます男前だな、おい。 「うん。ありがとう」 明るい声。今日は一度も俺に向けられてないトーンに心がメラメラと乱れる。 体の中で金木犀の香りがグルグル駆け巡っていて、それで俺は呼吸も乱れてることに気づいた。落ち着け。俺。 羽宮類がハードルを倉庫の中に運んでいく。結月はただくっついて、倉庫を出たり入ったりしているだけだ。なんだよ?嬉しそうに。 「類先輩。あたしも悪かったのかな」 「なんで?無理強いするのが悪いんだ」 「でも、光太郎にずっと我慢させてて」 いや、待て。待て待て待て。 なんだって羽宮類にその話をしてるんだ? なんだって相談を? 「あのさ、結月……」 な、なんだ?羽宮類?その憂いを滲ませた顔は、どした?やだな。ジワッと頭の皮に汗が滲んだのがわかる。 「はい?」 淡く、羽宮類が笑ってる。 「待つか、段階踏んで、ちゃんとその気にさせてくのが男だろ?」 「…うん。でもね、類先輩」 羽宮類は持ち上げたハードルをおろした。ぐっと結月の片腕を引き首に手を回す。顔と顔が近づく。 お、おいっ!羽宮類っ!何やってンだっ? 「結月は悪くない。あと先輩はやめ。今はクラスメートだろ?」 「あ…うん。わかった」
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