13:Fragment of delusion

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いつの間に日が落ちた?パパッとグランドの常夜灯がついて俺はハッとした。ガッと地面を蹴り走り出す。 校門のところで振り返る。足元を常夜灯で照らされた校舎、真冬の深夜に凍結した水溜りみたいな窓ガラス。その奥に非常灯の緑色の光がポツンポツンと見えた。 明るいのは職員室だけ。他の場所には魔物がいるのかもしれない。 ……羽宮類、みたいな。 ぶるっと体が無意識に震える。バカなこと考えてないで早く帰れよっ!俺! そんで結月にメールだ。とりあえず、謝りの。謝る…何を? 「わあっ!」考えるな!俺! あれは事故だ!不可抗力だっ!結月への裏切りじゃーないっ!謝るなら昨日のことっ!無理強いしようとしたことだ!それのみ! 力づくで記憶に蓋をする。隙間からはみ出ようとするソレがペリペリと、その蓋を壊さないよう、俺は必死で結月のことを考えていた。 「光太郎?もう帰れる?」 放課後のガランとした教室。月に一度の短縮授業日だった今日、クラスメートはとっとと去って行った。 机の中の教科書を鞄に詰めていた結月のツインテールが揺れてる。クリッと首を傾げながら俺を見た。 あー!もうっ!なんでこう可愛いンだっ! あれから結月にメールしたンだ。 それからすぐに電話も。俺が「ごめん」と言えば「うん」って答えて、結月はそれから「今日のハードル、カッコ良かったよ?」と言ってくれた。 ンだよ!見てたのかよぅ!よっしゃーっ! 思わず握ったよ。拳を。ほんと良かった。 「ねぇ?光太郎、聞いてる?」 はっ!可愛過ぎて見惚れてた。窓を背に立つ結月は、太陽の輝きに縁取られて、天使!そう!エンジェル!
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