13:Fragment of delusion

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そうなのか?親父……。俺もそんなこと息子の言える父親になれっかな… 結月……。そう言えば、なんで……。濡れた犬よろしく俺はぶんぶん首を振った。 いーや!今はともかく、すっぱりサッサとやるべきことをやっちまおう。 ……やることさえやっときゃあ、うるさく言われないんだ。頑張れ!俺! ともすれば筋トレウェイトでも装着したみたいに重くなる足を、俺は跳ね上げて走った。 各準備室を回って施錠確認。 オッケーだぜ! もちろん例のぼろい倉庫も。 校庭から校舎を見上げる。 夕暮れ時の空をカラスが飛んで行った。 結月は今頃、塾だ。 一昨日の短縮授業の後の、水族館デートからなんとなく結月は、うかない顔をしているような気がする。あれは何でなんだろ……。 ……あ。そう言えば……屋上……施錠したっけ? うはっ!気付いちまった…!あ、いや?気付いて良かった。うん。そうだそうだ。物事は考えようだ。うん。 気付かなくて施錠されてなくて、それがまた先生にバレて…なんだかんだあーだこーだ言われるなんて…最悪!!だもんな。気付いた俺、偉い!軽いもんだ。鼻歌だ。無理してるわけじゃーねーぞ?な?俺 屋上に出入りするための階段は2か所ある。俺はまず、校舎内の階段を上がった。 ドアノブをガチャガチャする。開かない。 ほっと息を吐く。良かった。あとは外階段だ。 これが終われば業務終了。知らず軽くなる足。浮かれたスキップにならないよう努力。あと3メートル。ホップステップジャンプ!だ。 まずは階段の入り口ドア。錆びたドアノブはガチャガチャされて迷惑そうに、僅かに首を振る。開かない。ここが開かないなら大丈夫、か……。 あ?いや?ドアは上がりきったところ、まさに屋上の入り口にもある……な。 まーまさか、ここが施錠されてるなら問題ないと思うけど……。 あ…でも、このラスイチをきちんと確認しないのも、どうなんだよ?え?遠藤光太郎? 当然、閉まってんだろ?けど、けどな… 万が一ってこともあるし、チャッチャと上がってガチャガチャしてきちまおうぜ! 俺は、ポケットからマスターキーを出して解錠した。もちろん、階段に足をかける前に振り返りいったん施錠する。見回り途中で誰かが上がって来てもなんか、アレだし。
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