13:Fragment of delusion

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「あ、いや?ボクはもう解禁だけど、お前はまだ未成年だもんな」 「な、何でっ?」 「遠藤っていくつだよ?」 「えーと…18になった」 やややや。何を素直に答えてるんだ!俺! 「ボクは今日が誕生日。二十歳になったんだ」 「え……あ…」そうだった2コ上なんだよな。 隣に座る羽宮類の体温が空気を伝って俺に触れる。怖いものを見るようにそっと横目で羽宮類を見た。 赤い唇を僅かに開き、羽宮類がゆったりと息を吐きだして、その胸が僅かに動く。肺がゆっくり収縮したんだ。 羽宮類の吐き出した息に乗って、バラの香りが鼻から入り俺の細胞の隙間にヌルリと滑り込む。腹の下で青い炎がユラユラと立ち昇り、俺を焙る。 「お前、聞いたんだろ?」 羽宮類はあの落ち着いたハスキーな声で唐突に言った。 「へっ?」間抜けな声だ。何だ?何の話を? 「結月から」 「え?あ!…うん。聞いた」 「泣かすなよな?」 答えに詰まって俺は黙った。今でも結月が好きなのか?……まさか、そうは聞けないけど。 「ま、この前のキスは怖くなかったって言ってたから、大丈夫だろうけどな」 バクンと心臓が鳴った。ガバッと羽宮類に顔を向け、ガン見の体勢。目に映る羽宮類は薄く微笑を浮かべている。パクパクと口が動いてるのが自分でもわかる。けど、言葉はなんも出てこない。頭の中でカラカラと何かが回ってる。 「優しくしてやれよ?ボクみたいに」 「んなっ?」何を言ってるんだっ?何をっ?結月は何でこいつに報告をっ!? クククっと公園の鳩みたいな声で羽宮類は笑う。 「お前って覗きが趣味なのか?」 「はぁあっ!?」 パチンと何かが切れたような気がして、挑むような声が出た。 「バカにしてんのかよっ!」 「怒るなよ。遠藤。ボクはただ事実に基づいて質問しただけだぞ?」
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