13:Fragment of delusion

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それは俺が使う「好き」とか「大切」とかと同じ意味なのか? その宣言とウラハラに思えるこの行動に、俺は戸惑いを隠せない。なのに、羽宮類にとってはまっすぐ一直線の上に並んだ事柄のように、どこにも違和感がないのだろうか…。 これは、どこにたどり着くんだ? 「不安がらせたり泣かせたりしないで欲しい」 「そんなこと……するつもり、ない」 首筋に熱い吐息がかかる。緩やかに降りてくる指先がシャツのボタンを外している。 理解できない。なのに、体は刺激に単純に反応する。ブワリと膨らんだ心臓がストンと腹に落ちたような気がした。どこか違う場所が脈打ってる。浅くなる呼吸。酸素が足りない。 「ちょ…ま…て」 クスクス笑う羽宮類は、唇で俺を塞いだ。熱い。舌先も指先も。絡めて撫でる。 え?え?だってあれだよな?羽宮類は…。 相川玲子の言葉が胸の底で蘇る。 『類は、体は女子だけど心は男だって』 ってことはあれだろ?見た目が子供で頭脳は大人的な?わぁっ!何を陳腐なことをっ!ばかばかばか!俺っ!いや?あの?あれ?結月が好きって言ったよな?なんでこんなことを? 下に降りて行く羽宮類の手を、ぐっと押さえた。 「お前…なんで?」 「何が?」 「結月が……好きなんだろ?」 「お前は?」 「好きに決まってる」 「女の子のことはボクの方がよく知ってる」 「へ?」 「だから、教えてやる。どうせ捨てる体だ」 何っ!捨てるだとっ!それは聞き捨てならない言葉だっ!そんな! そりゃ結月は俺のもんだけど!けどっ! まだまだ先がある人生だぞっ! そんなことを聞いちまってそのまま聞き流すとか、ありえねーだろーがっ! それは絶対に阻止だっ! バサバサバサッと不気味な羽音。目だけを上げる。カラスが非常用給水タンクの上に止まった。 黒い不吉な目で、俺達を見下ろしている。
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