2:Let it loose

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ばちばちばちっと派手な音を立てて空から投げつけられていた  季節外れの雹(ヒョウ)は 亜紀がバスを降りる頃には止んでいた。 ひんやりと湿った夜の空気に緑の匂いが漂っている。 何度も何度も深呼吸する。 そのうちに自分の吐き出す息からも緑の匂いがしてくるような そんな気がして亜紀はしばらく深呼吸を繰り返した。 濡れそぼった街路樹の生い茂った緑の葉は 街灯の明かりを反射して輝いている。 ああそうか。 あの雹(ヒョウ)だ。 あんなに激しく叩かれたから あの葉っぱたちは緑の匂いを放ったんだ。 いつも ただそこに立っているだけなのに……。
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