2:Let it loose

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その瞬間から その“何か”はいつも部屋の片隅にいた。 それは透明な空気なのに そこだけ何かの比率が違っているようで 明らかに周りとは異質のものだった。 窓を開けて風を入れて 扇風機を回して部屋全部の空気をぐるぐるとかき混ぜようとも 決して混ざることなく そこにわだかまっていた。 はじめはほんの子猫ほどの大きさだった。 いつもそこにいて だからといって何かの障りがあるわけでもないから 亜紀は気にしないことに決めて 無視し続けた。 無視すればするほど それが少しずつ少しずつ大きくなってきて 今は自分と同じくらいの大きさになっていた。
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