3:Accomplice

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鋭い一言で私の心を撃ち抜く。 さすが、30年来のたった一人の親友。 私のアルバム。 今までの出来事のほぼすべてを胸に収め、知っている。 確かに……。 「……そうかも」 「だから……良かったよ。じゃあ、ね」 電話を切る。 試してみる。 声なき声で。 こっちを向いて……。 新倉さんは振り返り、こちらに歩いて来てくれた。 ロビーでもフロントでも、私の少し先を新倉さんは歩く。 時々、きちんと着いて来ているか確認するように小さく振り返りながら。 エレベーターでは開いた扉を押さえて私を先に乗せてくれた。 二人きりの空間。 「心配ですね」と新倉さんは言った。 心配ですか?ではなくて、心配ですねと言ってくれたことが嬉しかった。 母のことを同じように考えてくれている。 そんな風に思えた。 「はい。でも新倉さんがいて下さるから……。大丈夫です」 延命治療を拒んだ母は、徐々に状況が悪くなっている。 これまでも何度となく危なくなっては面会に行き、そのたびにぎりぎり回復していた。 今回もそうなるかもしれない。 だってつい2週間前は、あんなに元気そうだった。 それでも担当医からはそろそろ心の準備をと言われていた。 時期の悪いことに夫の弟がハワイで挙式することになっていた。 初めての海外旅行を幼い息子も楽しみにしていたし、なかなか交流を持たせてもらえなかったおばあちゃんよりも、気持ち的にそちらを優先してしまうことは理解できた。
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