3:Accomplice

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小さなシェル型の陶器のお皿も入っていて、たぶんだけど、下着やアクセサリーを入れられるように用意されたものだと思う。 スカートを脱ぎブラウスのボタンを外して脱いで、ハンガーに掛け新倉さんの服の隣に掛ける。 余計なことを考えないようにして機械的に脱いでいく。 素。 何も身につけていない自分の体を、見る。 まあ、いい。諦めよう。 それにしてもこんな素敵なホテル、誰と来たんだろう……。 彼女と? 今まで見ていた新倉さんとは別人の、男の顔を見たような気がして、心が波立つ。 浴室のドアを開けると、もわもわと湯気が立っていた。 しっとりと温かい水分を含んだ少し重たい空気は、待っていましたとばかりに私を招き入れて肌に纏わりついている。 充満するグリーンハーブの香りの中で髪を洗い、体を洗い、浴槽に体を沈める。 ミルキーな緑色のお湯からもわもわと湯気と一緒にグリーンハーブの香りが立ち昇っている。 ああそうか。 さっき新倉さんから漂っていたのは、この入浴剤の香りだ。 ゆっくりと深く、呼吸を繰り返す。 そうやって私の体にこの香りが染み込んで、そのうち吐き出す息がこのグリーンハーブの香りになるまで。 新倉さんと同じ香りになるまで。 あれ?でも上がったら、私、どうしたらいいのかな……。 体を拭いて、その後は……バスローブを着るの? ん? それとも服? いやいや。 新倉さんがバスローブを着て出たんだからバスローブか。 え?下着はどこまで?下と……上も? それとも下着なしでバスローブ? いやいやいや。 なんかやる気満々じゃん……。 やだ。 そんな風に思われるの。 それに、私、もういきなり素、で見られるような体じゃないよ。 そうそう。 きれいな包み紙が必要なお年頃だもの。 ……そういえば、私、黒や赤やターコイズブルーや、なんかすごい色の下着ばっかり持ってるけど……。 ふっと視界が黒ずんだ。 あれ? なんかくらっとした?
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