3:Accomplice

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新倉さんが静かに吐き出した息が、肌に触れたような気がした。 もしかしたら、私がなぜ笑ったのかまで察しているのかもしれない。 「それなのに……全然、生かせなかった」 愚かしいことに、繰り返した。 歩み寄ることを厭わしく思って。 言い訳した。酷いことしたんだからって。 「古瀬さん、あれは……晴信さんのことではご自分を責めたりしないでください」 ああ。やっぱりそうだ。 これはどんなカラクリなんだろう。 思考の細かな糸が互いに絡み合っているみたいに、言葉にしない思いまでを読み取りあっているような感覚。 もっと話していい? 心のどこかで問いかければ、新倉さんの指にわずかに力が込められた。 「……新倉さん、全身麻酔って経験あります?」 「……いえ。ないですね」 「あれ、凄く不思議な感覚です。 点滴の冷たい液体が体を流れるのがわかるし、鼻の中でくすりの匂いがするし、 始めぜんぜん普通に意識があって、やだ、このまま麻酔がかからなかったらどうしようって思ってたのに、 気付くと、すっかり終わってて、ちゃんと麻酔かかったんだなぁって……」 「初めて聞きました。そうなんですね?」 感心するような声音で新倉さんが言った。 心がほぐれていくような感じ。
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