3:Accomplice

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「息子は、寝室で眠っていました。 後で息子に聞いたら、ママがちゃんと寝かせてくれたって。 私、ぜんぜん記憶にないのに。 帰宅してからもまた飲んだみたいで。それも覚えてなかったんですけど」 「ご主人は?」 「出張で」 「危なかったですね」 「え?」 はぁと新倉さんがため息をついた。 一瞬、ひやりと胸が冷えた。 目を上げて新倉さんを見る。 新倉さんの瞳が翳っているような気がして、胸が重くなった。 こんな話、嫌ってこと? 「……辛かった、ですね」 そう言って、新倉さんはふわりと私の頭を撫でる。 辛かった。その過去形の言葉があの時の感情をくるりと包んでくれた。 うん。小さく頷くと、にこりと新倉さんが笑ってくれた。 流産のせいにしたくなかった。 でも、誰にも言わずに全部、始めからなかったみたいに振舞ってたのが辛かった。 家にいれば常に息子がいて一人になれる時間もなかった。 夫の実家にも行かなくちゃいけなかった。 泣ける場所がなくて、胸の中にたまった涙でパンパンになって苦しかった。 「古瀬さん、しっかりし過ぎるのも考えものですよ?」 初めて新倉さんの個人的な考えを聞いたような気がした。 そうなのかもしれないと思った。
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