3:Accomplice

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「仕事で忙しかった奈々枝にも、しばらく会えなくて。どこにも心を解ける場所がなくて」 「一度、お会いしましたね。晴信さんのご葬儀で」 「ええ。奈々枝はいつも行くファミレスで……ばかみたいに……泣いて」 「いいお友達がいらして良かった」 「一番奥の、海の見える窓際の席でした。台風が近づいていて、うねる海面が大きく上下して」 風が叩きつけるように吹いて、煽られて飛ばされていくコンビニ袋を目で追ってたっけ……。 「飲みたいなら付き合うからって。自分を壊すような飲み方、ダメだって」 「……その通りです」 決して大きな声ではなかった。 でも、硬く引き締まった声に緊張感があった。 息子を叱るときに出す声音に、似ているような気がした。 そっと、新倉さんの顔を見る。 初めて会った日のように、眉を下げている。 目が合うと悲しそうに頷いた。 「流産の……そのせいって言うのはずるいし言い訳に使うのは卑怯な気がして、 でも、あんな風に意識を失うまで飲んだのは、初めてでした」 ぎゅうっと新倉さんが私の手を握る。 鼻の奥がつんとして目頭も熱い。 自己憐憫は、醜い。 醜い私を見られたくなくて、目を閉じる。 その時、ぽつっと何かが私の手に落ちた。 目を開けて新倉さんを見ると、泣いていた。 「良かった……」 「え?」
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