3:Accomplice

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「古瀬さんが、それで……死んでしまわなくて……良かった」 ああ。だめだ。決壊。 泣き顔が可愛い歳じゃないのに。 涙を流す新倉さんは、ゆっくりと体を私の隣に横たえた。 おでこに、新倉さんの手が伸びてくる。 つ、とその手が止まる。 「おでこに触っても、いいですか?」 「?……はい。どうぞ?」 幼子を慈しむような手つきで新倉さんは私のおでこを撫でる。 「ほっぺに、触ってもいいですか?」 「あ……はい」 両頬をその両手で包み込まれる。 温かい。泣けるほど。そっと、深く息を吐きだした。 「耳に触れてもいいですか?」 返事の代わりに頷くと、新倉さんは甘く微笑んだ。 耳を撫でられる。 ぞくりと背筋が震えた。 「唇は?」 「あの?」 「ん?」吐息のような声。 「……いちいち、聞かないでください。すごく……恥ずかしいんですけど」 私の目を見つめて、唇を開いてゆるりと笑う。それは初めて見る、暗く濡れた笑みだった。 「お返しですよ?さっきの」 「え?」 私の目を見つめたまま、額、耳、首筋を、するするとなぞった新倉さんは、唇の形を確かめるように撫でた。 ふわりと瞳の奥が解れる。 「嘘です。私が一つ先に進みたくなるたびに、確認しないと、古瀬さんが嫌だって言うタイミングがなくなっちゃいますよ?」
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