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「……言いませんから」
「何を、ですか?」
「だから……やだって、言いませんから」
「わかってますか?それの意味が」
「……わかって……ます」
「じゃあ、最後の確認ですが……先に進んでいいですか?……最後まで」
じっと見つめられている。
泣いた顔なのに。
不思議と気恥ずかしさは感じなかった。
私は新倉さんの瞳の奥にある、初めて見る輝きに魅せられていた。
この人となら……
軽々と、想像してたよりも自然に、飛び越えられる。
「……はい」
新倉さんは穏やかに笑い、瞬きで頷いた。
「じゃあ……」
そう言って、くるりと私の体を反転させ、背中からぎゅっと抱き締める。
「もう、聞きません。……途中でやめたりしないですよ?」
耳元に響く吐息がくすぐったい。
その手は優しく私の肌を滑る。
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