3:Accomplice

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まだどこにも届かないのに、その手が触れるところは熱を帯び、呼吸を荒くさせる。 耳の下に湿ったキスをされてぴくんと体が跳ねた。 体の真ん中に熱がこもり内側からとろりと溶かし出し溢れさせる。 さっきの無表情な手とはまったく違う質感を肌に刻む、新倉さんの熱い手。 迷わずに遊ばずに、触れる。 「もう?」含み笑いのような声で囁く。 体は意識しない思いをそのまま映し出す。 欲しかった。ずっと、私は彼を。 だから、まだただ触れられただけなのに、溢れてしまう。 零れてしまう。思いも声も……。 無慈悲に戯れる指先に追い立てられていく。 熱がどんどん上がって私はさらに融けだし溢れて零れる。 息が、苦しい。 内側から逃げられない熱に焙られている。 不定期なリズムで漏れる声を、喉元を締めて抑えていると「聞かせて?」と蜂蜜みたいに甘い声でねだられた。 喉の奥が解かれて、溢れてまとわりつく声に溺れていく。 熱い吐息は途切れがち。 彼は私の耳元で囁く。 「本当はずっと欲しかったんです。あなたが」 強くきつく抱き締められ、その腕の中でまた昇り詰める。 「その言葉、欲しかったの」 「言葉だけ?」 「……あなたが」
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