3:Accomplice

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ふわっと抱き締められて、泣いた。 もう次はない。 ここを出たら今までと同じ距離感に戻らなくちゃ。 私は責任を果たすべき相手と暮らす。 いつもと変わりない日常を重ねる。 母が亡くなれば、もう会う理由は存在しない。 知ってしまった蜜の味を、思い出し思い返して、また呑みこんで生きるんだ。 後悔はない。 後悔は、しない。そう決めた。 「愛さん、あなたは私にとって特別な人です」 ほろほろと落ちる涙を新倉さんは優しく拭う。 「いつか……」 胸の奥でなされた会話の続きのように、新倉さんは呟いた。 その先の言葉を、私は知っている。 知っているけど…… 「いつか」なんて、頼りないものは知らぬ間に時間が吸い取っていってしまうんだ。 それでも「いつか」と約束したい。 無音の声が届いたように新倉さんは言う。 「一人じゃありませんよ」
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