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午後6時。
校門の前に佇む、2つの影。
季節は秋。日が落ちるのも早くなり、日に照らされた2つの影は長い。
「好きです!!!」
意を決して私は叫んだ。
相手の男性は、やんわりと笑った。
「へぇー。じゃ、付き合おっか」
そう言って、肩を抱いてくる。
私は涙が零れそうになった。
嬉し涙………なわけない
底から沸き上がってくる、怒りと失望。
それを何とか沈め、深呼吸をする。
「け……結構です!!」
震える声で、そう言った。
「は?」
度肝を抜かれたように、目を丸くする相手。
無理もない。
好きだと言われ、じゃあ付き合おうと言うと断られたのだから。
「君……何言ってるか分かってる?」
「…………」
「俺のこと好きなんだよね?
じゃあ、付き合おうよ」
そう言って、再び笑う。
そして距離を詰めてきた。
「だから…………っ、
結構ですぅぅぅぅ!!!!!!!」
私は泣き叫ぶように言って、全力でその場を立ち去った。
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