13人が本棚に入れています
本棚に追加
巨大な屋敷の大ホール。
シャンデリアがキラキラと輝き、まるで社交会でも開いているかのような贅沢なそのホールで、2人はお互いをにらみ合っていた。
シーンと静まり返り、緊張感だけが漂っていく。
そんな2人の間に、1人の老人が割って入った。
「デュラン様。皆が怖がっておりますぞ」
デュランと呼ばれたその男は「この伯爵に刃向かう者は、誰であろうと容赦する事は出来ん」と言った。
「それがデュラン伯爵様の本音でない事は、この爺は良く分かっていますぞ」
老人の男は、そう言ってデュランの手を握った。
「爺、あまりでしゃばると、その命を落とす事になるぞ」
そう吐き捨てたデュランは、その場から立ち去って行く。
「スフィア様もあの男には気をつけて下さい」
「私は何もしていない。あの男が勝手に吠えているだけだ」
スフィアもデュランと同じように部屋から出て行った。
「皆の者。おしまいじゃ。間も無く夜も明ける」
その言葉を合図に、屋敷中のカーテンが閉められた。
最初のコメントを投稿しよう!