第一章

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自室に戻ったスフィアは、太陽光が入らないようカーテンを閉めた。 外の景色が遮断され、部屋の中は暗くなっていく。 スフィアの瞳が不気味に輝きだし、暗くなった部屋の中が鮮明に見え始めた。 スフィアは、そのままベッドに向かい腰にあったホルダーを外した。 「こんな物をいつまで使い続ければいいのか……」 誰も居ない部屋で呟くと、そのまま上着を脱ぎ始めた。 そして下着姿になると、部屋にあるシャワールームに向かって行く。 体に染み付いた血の匂い。 ヴァンパイアは人間以上に鼻が効く。 スフィアは、この血の匂いが嫌いだった。 下着を脱ぎ全裸になると、シャワーの栓を回し体を洗い流していく。 湯煙がシャワールームを満たし、体のラインだけがガラス越しに浮かんでいた。 真っ白な肌に石鹸を泡立て、少しでも血の匂いが残らないよう時間を掛けてシャワーを浴びてく。 髪を洗い、最後に花の香りがする香水を軽く吹きかけると、スフィアは長いシャワーの時間を終えた。 タオルを体に巻き、鏡台の前に腰を下ろすと、鏡に映る自分の姿を見続けていた。
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