第一章

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-- デュランは怒り狂っていた。 ワイングラスを握りつぶし、テーブルの上に飾られていた花瓶をも投げつける。 「スフィアめ、この俺に恥をかかせるとは!」 伯爵の地位にありながら、唯一自由にならないスフィア。 今まで、どんな女でも弄んで来たデュランにとって、スフィアのあの態度は許す事は出来ない。 「今からスフィアの部屋に行き、辱めてやる……」 デュランはそれだけを言うと、スフィアの部屋へ向かって行く。 長い廊下を進むデュラン。 外は既に昼間になり、ヴァンパイアにとって致命的な紫外線が降り注いでいる。 だが、この屋敷に光りは一切入って来ない。 ただランプに灯された明かりだけが、唯一の光りだった。 そんな屋敷の中を、デュランは歩いていた。 行き先はスフィアの部屋である。 音を立てる事なく足早に歩き、デュランは一番角の部屋の前に来た。 「スフィア、そこに居るのは分かっている。扉を開けろ」 「鍵なら開いている」 部屋の中からスフィアの声が聞こえた。 「では、入らせてもらうぞ」 デュランはゆっくりと扉を開けた。
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