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デュランは怒り狂っていた。
ワイングラスを握りつぶし、テーブルの上に飾られていた花瓶をも投げつける。
「スフィアめ、この俺に恥をかかせるとは!」
伯爵の地位にありながら、唯一自由にならないスフィア。
今まで、どんな女でも弄んで来たデュランにとって、スフィアのあの態度は許す事は出来ない。
「今からスフィアの部屋に行き、辱めてやる……」
デュランはそれだけを言うと、スフィアの部屋へ向かって行く。
長い廊下を進むデュラン。
外は既に昼間になり、ヴァンパイアにとって致命的な紫外線が降り注いでいる。
だが、この屋敷に光りは一切入って来ない。
ただランプに灯された明かりだけが、唯一の光りだった。
そんな屋敷の中を、デュランは歩いていた。
行き先はスフィアの部屋である。
音を立てる事なく足早に歩き、デュランは一番角の部屋の前に来た。
「スフィア、そこに居るのは分かっている。扉を開けろ」
「鍵なら開いている」
部屋の中からスフィアの声が聞こえた。
「では、入らせてもらうぞ」
デュランはゆっくりと扉を開けた。
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