第一章

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「スフィアから離れろ」 デュランの言葉を無視し、女は銃を抜いた。 「それで俺を撃つと?」 デュランに慌てる様子は無い。 「もはや、スフィアに動く力は無い。ならば、貴様から先に相手をしてやろうか」 「つくづく最低な男だな。スフィアの上で死ねるなら本望だろう」 デュランの頭に銃口を押し当てると、女は引き金に力を込めた。 「ロジェ……やめ……ろ……」 デュランが体に触れてから、力が入らないスフィア。 そんなスフィアは、何とかそれだけを口にする。 「スフィアは黙って。あたしは、この男のやり方が気に入らないのよ」 「俺のやり方に文句があるなら、歴代の年寄り共に言え」 デュランはロジェの銃を振りほどきながら、スフィアから離れた。 お互いが睨み合い、殺気が満ち溢れていく。 「あたしの武器が銃だけでは無い事は知ってるわよね?」 ロジェは短剣を取り出すと、デュランに刃先を向けた。 「そんな物で俺を倒せると思っているとはな」 デュランは牙をむき出しにし、ロジェに向かって飛び込んでいった。 「ロジェ……」 スフィアは何とか体制を整えようと、体を動かそうとした。
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