13人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
シトシトと降り続く真夜中の街並み。
人通りも目に付かない雨の中で、年端もいかぬ1人の少女が佇んでいた。
何処を見ているのか、定まらない視線。
寒さの為か、恐怖の為か……。
少女の体は、ガクガクと震えていた。
「こんな時間に傘も差さず、何をしているのかな?」
少女に見知らぬ老人が優しい笑みをこぼしながら話し掛けて来る。
「お嬢さんが1人でうろつくには遅い時間だ。お家まで送ろう」
そう言いながら少女に手を差し伸べた。
だが、老人の事など目に入っていないらしく、フラフラと歩き出す。
「何処へ行くんだい?」
老人は、この不思議な少女の肩に手をかけ、引き留めようと力を込めた。
「なっ!!?」
その時、老人は思わず驚きの声を上げる。
少女が進むその先に、誰かが倒れていたのだ。
「だ、大丈夫かね?」
倒れている人影に声を掛ける老人。
だが、既に死んでいるらしく、返事は返って来ない。
「こ、これは大変だ。早く保安官に知らせなければ」
老人はそう言って立ち去ろうとした。
最初のコメントを投稿しよう!