第一章

17/24
前へ
/40ページ
次へ
ゆっくりとカーテンが開き、太陽の光りが部屋の中に差し込んで来る。 その光りに当たらないように、スフィアは扉に向かって跳躍した。 左足が一瞬かすめる。 ジューっと焦げた臭いと共に、煙りが上がる。 「くっ……」 押し殺した声を出しながら、スフィアは廊下へ転がり込んだ。 「ロジェ、スイッチを破壊して!」 デュランが立ち上がろうとしている所を見たスフィアは、ロジェにそう叫んだ。 「任せて!」 短剣を腰から取り出すと、迷う事なくスイッチ目掛けて投げつけた。 バリバリっと、電気がほとばしる音と共に、スイッチは破壊される。 「貴様らよくも!」 光りの差し込む部屋で叫ぶデュラン。 そのデュランの最後を見届ける前に、ロジェは扉を閉じた。 「最後を見届けたかったけど……あたし達まで溶けてしまうわ」 悔しそうな表情を見せながら、ロジェはそう言った。 「とにかく助かった……」 スフィアは痛めた足をさすりながら言う。 「ロジェが来てくれなかったら、私はアイツの餌食になっていたわ」 「デュランは最低な男だからね。死んで当然よ」 スフィアに手を差し伸べるロジェは、ホッとしたような表情をしていた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加