第一章

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「伯爵を手に掛けたからには、掟に従って仲間から始末されるわね」 「デュランの事を良く思ってない輩は多いわ。命を狙われるような事は無いと思いたいけど……」 スフィアの言葉にそう応えたロジェは、それでも表情は暗い。 「とにかく、マーカスの所へ行きましょう」 「マーカス?」 ロジェはマーカスが呼んでいる事をスフィアに伝えに来たのだ。 マーカスとは、ヴァンパイアの戦士に武器を提供する科学者である。 設計から開発までを手掛け、個人にマッチした武器を作ってくれる。 戦士の間では、このマーカスは居なくてはならない存在なのだ。 「スフィアの新しい武器が出来たそうよ」 「私はマーカスに武器を頼んでないが……」 スフィアはヴァンパイアの使う武器を嫌う傾向にある。 武器が馴染まないのが原因らしいが、ヴァンピールとの戦いを続ける為には、専用の武器は必要だった。 「いつもスフィアの事を心配してるのよ」 ロジェはスフィアを立ち上がらせると「行きましょう」と言って歩き出した。
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