13人が本棚に入れています
本棚に追加
「いい銃だ」
手に馴染む銃に、スフィアは素直な気持ちを口にした。
「これが仕事だからね。誰の武器であっても手抜きはしない」
マーカスのその言葉は、デュランの武器も手抜きはしていない事を意味している。
「つまり、武器の弱点も知っていると?」
「武器の弱点か……。正直、見当たらないと信じたいね」
マーカスは得意気な表情を見せた。
つまり、マーカスの作る武器に弱点は無い。
「そうか。そうでなくては困る……が……私には不要だ」
スフィアは銃を机に奥と「私は行くぞ」と言って開発ルームから出ようとした。
そのスフィアに「デュランと揉めたんだろう」とマーカス。
「確かに揉めた。そして、奴は私の部屋で死んだ」
「死んだ?」
「奴に生きる資格は無い。それは、ヴァンパイアなら誰もが思っている事だ」
淡々としているスフィアに、マーカスは驚きを隠せない。
どれだけ非道な男だとしても、ヴァンパイアをまとめる伯爵なのだ。
それが何を意味しているのか……。
「本当に死んだのか?」
マーカスは信じられないと言った表情をしながら、スフィアを見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!