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スフィアとロジェの2人が隠れていた頃、伯爵配下の者による巡回が始まっていた。
「いつもの事だけど、巡回する意味なんて無いと思うのよね」
ベアで巡回する1人が愚痴をこぼす。
「仕方ない。これはヴァンパイアの掟だからな」
一部屋毎見回り、異常がないか確認していく。
過去、数百年と見回って来たが、一度たりとも異常のあった事はない。
そして、今回も何の変わりもなく見回りが終わる筈だった。
「スフィアの部屋ね」
いつもと代わり映えのしない扉。
2人はお互いを見て頷くと、扉を開けた。
「---っ!?」
ジューっと灼けただれる音がする。
「なっ!?」
一気に扉を開けた2人は、太陽光をもろに浴びたのだ。
何とも言えない異臭が廊下に広がっていく。
そして、2人は一瞬にして灰になった。
「もう私の部屋に来ていてもいい頃だ」
時計を静かに見ていたスフィアは、巡回者が灰なった同じ時刻に呟いていた。
「いよいよね」
ロジェの顔が強張っていくのが分かる。
「覚悟は出来ている」
スフィアの顔も同じように強張っていた。
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