第一章

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スフィアとロジェの2人が隠れていた頃、伯爵配下の者による巡回が始まっていた。 「いつもの事だけど、巡回する意味なんて無いと思うのよね」 ベアで巡回する1人が愚痴をこぼす。 「仕方ない。これはヴァンパイアの掟だからな」 一部屋毎見回り、異常がないか確認していく。 過去、数百年と見回って来たが、一度たりとも異常のあった事はない。 そして、今回も何の変わりもなく見回りが終わる筈だった。 「スフィアの部屋ね」 いつもと代わり映えのしない扉。 2人はお互いを見て頷くと、扉を開けた。 「---っ!?」 ジューっと灼けただれる音がする。 「なっ!?」 一気に扉を開けた2人は、太陽光をもろに浴びたのだ。 何とも言えない異臭が廊下に広がっていく。 そして、2人は一瞬にして灰になった。 「もう私の部屋に来ていてもいい頃だ」 時計を静かに見ていたスフィアは、巡回者が灰なった同じ時刻に呟いていた。 「いよいよね」 ロジェの顔が強張っていくのが分かる。 「覚悟は出来ている」 スフィアの顔も同じように強張っていた。
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