第一章

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正直、覚悟など出来ていない。 出来る事なら、同族と争いたくはないのが本音なのだ。 「顔色が悪いわね」 「ロジェがそれを言うか」 2人はそう言ってクスクスと笑い合った。 2人が隠れているこの部屋は、今は使われていない。 この屋敷には、そんな使われていない部屋がたくさんあるのだ。 全ての部屋を知っている者は伯爵以外はいないと言われている。 スフィアやロジェも、この部屋を知ったのは最近の事だった。 「そろそろ誰かが気付く頃か……」 「そうね。武器の確認だけはしておきましょう」 ロジェは身に付けていた武器を手にすると、誤作動が起きないかを確認していく。 スフィアも同じように、自分の武器の確認を始めた。 「この銃だけは使いたくはない」 マーカスから受け取った銃を机に置くスフィア。 「ダメよ。あたし達の敵は仲間だけではない。ヴァンピールとも戦う可能性があるわ」 「そんな事は分かっている!」 スフィアは声を荒げた。 そしてその時、屋敷中が騒がしくなっていく。 いよいよスフィアとロジェの長い戦いが始まろうとしていた。
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