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正直、覚悟など出来ていない。
出来る事なら、同族と争いたくはないのが本音なのだ。
「顔色が悪いわね」
「ロジェがそれを言うか」
2人はそう言ってクスクスと笑い合った。
2人が隠れているこの部屋は、今は使われていない。
この屋敷には、そんな使われていない部屋がたくさんあるのだ。
全ての部屋を知っている者は伯爵以外はいないと言われている。
スフィアやロジェも、この部屋を知ったのは最近の事だった。
「そろそろ誰かが気付く頃か……」
「そうね。武器の確認だけはしておきましょう」
ロジェは身に付けていた武器を手にすると、誤作動が起きないかを確認していく。
スフィアも同じように、自分の武器の確認を始めた。
「この銃だけは使いたくはない」
マーカスから受け取った銃を机に置くスフィア。
「ダメよ。あたし達の敵は仲間だけではない。ヴァンピールとも戦う可能性があるわ」
「そんな事は分かっている!」
スフィアは声を荒げた。
そしてその時、屋敷中が騒がしくなっていく。
いよいよスフィアとロジェの長い戦いが始まろうとしていた。
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