第二章

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月明かりに照らされた街並み。 そこに、何かが動く影が見える。 「スフィア。もう少しでヴァンピールが行くわ」 「了解。ロジェも気をつけて」 小型の通信端末のスイッチをホールドにすると、スフィアはひっそりと息を潜めた。 あの日、屋敷から逃げ出したスフィアとロジェ。 伯爵殺しの罪により、もうかなりの年月を逃げている。 仲間も大勢殺した。 今更、その罪から逃げようとは思わない。 だが、知ってしまった事がある。 その事実をこの目で見るまでは、まだ死ぬ事は出来ない。 「---える?」 通信端末からロジェの声が聞こえていた。 一瞬ではあったが、遠い過去を見ていたらしい。 「すまない。もう一度頼む」 端末に手をやり、ロジェに返事を返した。 「ヴァンピールが角を曲がったわ。後は、そっちで確認して」 「分かった」 スフィアは物陰から顔を出すと、ヴァンピールが居る筈の方へと視線を動かした。 「あれね」 銃を構え、照準を合わせるスフィア。 射程圏に入った瞬間、スフィアはトリガーを引いた。
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