13人が本棚に入れています
本棚に追加
月明かりに照らされた街並み。
そこに、何かが動く影が見える。
「スフィア。もう少しでヴァンピールが行くわ」
「了解。ロジェも気をつけて」
小型の通信端末のスイッチをホールドにすると、スフィアはひっそりと息を潜めた。
あの日、屋敷から逃げ出したスフィアとロジェ。
伯爵殺しの罪により、もうかなりの年月を逃げている。
仲間も大勢殺した。
今更、その罪から逃げようとは思わない。
だが、知ってしまった事がある。
その事実をこの目で見るまでは、まだ死ぬ事は出来ない。
「---える?」
通信端末からロジェの声が聞こえていた。
一瞬ではあったが、遠い過去を見ていたらしい。
「すまない。もう一度頼む」
端末に手をやり、ロジェに返事を返した。
「ヴァンピールが角を曲がったわ。後は、そっちで確認して」
「分かった」
スフィアは物陰から顔を出すと、ヴァンピールが居る筈の方へと視線を動かした。
「あれね」
銃を構え、照準を合わせるスフィア。
射程圏に入った瞬間、スフィアはトリガーを引いた。
最初のコメントを投稿しよう!