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ズガァーンっと、重たい音が響く。
銃口から煙りが上がり、間違いなく弾丸が発射された。
「スフィア?」
端末からロジェの声。
だが、スフィアはその声に応えない。
変わりに銃をホルダーに戻し、ゆっくりと剣を抜いた。
「外れたわ」
スフィアは落ち着いた声で言う。
「こっちの場所がバレた。今から交戦に入る」
「待って!あたしも今行く!」
「ロジェは場所を移動して援護をお願い」
それだけを言うと、建物の影を利用してヴァンピールの近くへ移動して行く。
「私達を狙った事を悔やみなさい」
スフィアの口から牙が光った。
姿勢を低くし息を潜めると、ヴァンピールの背後から突っ込んでいった。
音も無く近付くスフィア。
だが、そのヴァンピールはスフィアに気付く。
「何!?」
気付かれる筈が無い。
ヴァンパイアが完全に気配を消しているのだ。
それが何故……。
ヴァンピールはスフィアに振り向きながら銃口を向けた。
そして、迷いを見せる事なくトリガーを引く。
一発、また一発と弾丸を撃っていく。
その内の一発をスフィアは受けてしまった。
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